旧甲奴郡(総領町、上下町、甲奴町)

10年4月19日

総領町から始めて、上下町、甲奴町と時計回り
でも軌跡を示しています、高低を示す断面図も表示できます
今度もまた、フライトロードダムからダムのコースだと思うでしょ、そうはいかない、そんなに同じテーマばかり追いかけているわけじゃないよ。
ちょっと傾向を変えます。
町村合併で消えてしまった郡があります。
旧甲奴郡には、総領町、上下町、甲奴町と、みっつの町がありました。
あのね、消え方がえげつないのですよ。近隣の市が自分のところに引き寄せて、甲奴郡を切り刻んでばらばらに分解してしまった。
総領町は庄原市へ、上下町は府中市へ、甲奴町は三次市へ、それぞれ合併してしまいました。
税務署・警察署・消防署などはそれぞれの市の区域と同じ管轄になった、ごみ処理組合も分割して円満離婚となった。
甲奴郡農協はまとめて庄原農協に合併したんですよ。ここの部分だけは食い違い処理になってしまった。
自転車で走ってみて、旧甲奴郡とは、どの程度の連帯だったのか、寄り合い所帯だったのか、肌で感じてみたい、そういうわけです。
最初は総領町の道の駅リストアステーションから始めよう。ここに車を置いて自転車で走ろう。
リストアステーションとは、新装開店とか、潰れた店が復活しましたとか、なんちゅう変な名前の道の駅なんだろうと感じていました。
設置者の本来の意図は、よみがえる、ふぅん、ものは言いようだが、わたしの違和感と大差ないぞ。
出発、出発。総領町から始めたのは、上下、甲奴には道の駅がない、だからここをスタートにしたんですよ。
たらたらとろとろと走っているうち、カタクリの里という案内をみつけた。
ちょっと横道してみよう。大字亀谷字段畑、ヤスハラケミカルの工場の近くにあるんだよ。
向原に大きなカタクリの群生地があるが、そこよりもちょっと規模が小さいかな。
まだ太陽を浴びてないので、カタクリの花は下を向いている。午後に来たら見栄えがするんだがね。
亀谷トンネルを潜って、登りの坂の途中に府中市との境界の看板がある。
坂道を登り切ったあたりはたんぼの中で、民家が目の前にある。
昔々の話しだが、当然、地頭は谷の下流へ拡張開拓の手を延ばすよね。
こっちの地頭と下の地頭と、公事を起こしたのか、合戦に及んだのか、競り合いで境界が画定した歴史があるのだよ。
この坂の上が今日のコースの最高地点。自然の境界が人間の境界とは違うことはよくあることです。
ここからはゆるやかな下りの道で、甲奴町への交差点まで降りて行くのだが、そのまま進んで上下町に向かうとするかね。
上下町は天領の町、幕府の威光で石見銀山の銀は必ずこの町を通る、銀山街道の宿場町だったんですよ。
かっての栄華が商家の白壁に残っていて、白壁の通りとして観光資源なんですよ。
広島銀行の支店があるが、銀行だって例外じゃない、コンクリートの壁を白壁に塗って、周囲の風景と合わせている。
引き返して、さっきの交差点、甲奴町のほうへ曲がって行く。
上下町と甲奴町の境界はたんぼが続いていて、何を基準に境界にするのか、自然の境界などないね。
甲奴町の市街地といっても薄っぺらい市街地なんだがね、そこをジミー・カーター通りと命名して、カーター通り駅がある。
実はわたし、この館にはまだ入ったことがない、いつも静かで、呼び込む覇気が感じられないのだよ。
上下町・甲奴町界隈では、三次市役所甲奴支所の周辺が一番標高が低く、ここから先は登りの道が延々と続くのですよ。
登り詰めて、ここが街道で最高の標高だと示しても、たんぼ民家が街道に並行しているから、そんなに風景が違うわけじゃない。
ただ単に数字が高いというだけ。ここからはペダルを踏まなくてもええぞ、ということだよね。
その点、山歩きなら、最高点というとそれは必ず山の頂上なんですよ。そこが山歩きと街道走りの違いだね。
道がええので道のままに走っていたが、看板があって、平田の里、おいおい、ここは吉舎のテリトリーじゃないか。
引き返して、ポケットのGPSを頼りにしよう。GPSの地図には県道を示してあるのですよ。
ははぁ、ここで間違えたのだ。この切り通しを抜けなきゃならんのだ。バス停太郎丸がある、それが目印なんですよ。
せめてここでは道路標識が欲しいよなぁ。他所から来た人間なら間違えるのが普通だぜ。
切り通しを抜けると意外に人家が多いのですよ。山の中に入って行くのを覚悟していたのに。
谷の坂道を降りて行く、降りて行く。大曲りのカーブを曲がって、次の大曲りの手前に、庄原市総領町と境界の標識がある。
谷の中間まで甲奴側の地頭は勢力を張り出している。総領側の地頭は押し込まれてしまったのだね。
そのまま坂道を下って、下って、国道筋の下市交差点まで降りてくる。ここが総領町の要所なんですよ。
ここには花酔酒造があって、総領の甚六という清酒を造っている。
総領の甚六とは、長男はのんびりしているぞ、という昔ながらのフレーズで、ここは総領町なんだよ、と合わせた言葉取りの洒落なんですよ、言葉遊びなんですよ。
ここから道の駅まではもうちょっとの道、水平な道だから、そんなに頑張らなくてもええよ。
総領町は山で隔離されて、甲奴郡のなかで分離した姿なのは昔からのことだ。庄原と結びつくのは理解できる。
上下町と甲奴町は双子のように相互補完しているようにみえるがね。どうして別々の自治体を選んだのだろうね。
道の駅リストアステーション(総領町) 総領町亀谷段畑のカタクリ
庄原市総領町と府中市上下町の境界 今日のコースの最高地点
銀山街道、上下宿 白壁の商家
府中市上下町と三次市甲奴町の境界 甲奴町、カーター通り駅
道を間違えて、吉舎町上安田平田まで来てしまった 引き返して、総領への道、切り通しを抜ける
三次市甲奴町と庄原市総領町の境界 花酔酒造有限会社、清酒、総領の甚六
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