2003年8月23日
しぇるぱ単独
山域:広島島根県境

たおやかな峰、初めての比婆山

 

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県民の森、管理センターお盆前に引越しして、あれから10日は過ぎたぞ。まだまだ落ち着いているとは言えないが、ご近所の広島の山にも出かけてみたいもんだね。
よし、出かけよう。比婆山にしよう。
わたしは広島生まれの広島育ちなんだが、ロケーションがよく解らんのだよ。比婆山とはどこのあたりの山だろう。
県境にあるそうだね、中国道を東城インターまで走らせるかね。インター出口からは北へ北へと行けばよいだろう。
出雲峠へ道路標識が道後山と案内するようになってきたぜ。道後山と比婆山とはだいぶ隔たっているものな。こりゃ見当違いしてる。
引き返して、西へ向かおう。JR備後落合駅のあたりで、県民の森、と標識を見つけた。これじゃないかしら。
散歩のお年寄りに聞いてみよう、比婆山はこっちで間違いありませんか。ああだこうだ、なんだかんだ。言ってることに要領を得ないね、ありがとう、地図をちゃんと調べることにします。
おばあさんに聞いたのが失敗だったな。このあたりでは、比婆山登山に関わることが少ない生活圏なんだね。鳥居がどう、神社がどう、と言っていたから、信仰に関わる返事だったんだ。
烏帽子山頂上比婆山温泉の看板が見える、ガイドブックにはここを曲がれ、と書いてあったな。
谷を詰めて、ここが県民の森か、ほぉぉ、近代的なゲストセンターと駐車場が現れたよ。
ここは、比婆山道後山帝釈峡国定公園なんだとさ。国立公園と国定公園、さらに近在には備後丘陵国営公園もあるんだよ、それぞれには、どんな区別があるんだろうね。
朝の9時という早い時間なのに、駐車場にはかなりの車が集まっているよ。ふぅむ、人気の山なんだね。
大勢のひとが芝生の広場を右に巻いて、橋を渡って進んで行くよ。反時計回りに進むのが通常なんだな。
烏帽子山から比婆山をキャンプサイトを横目に進んでいく、道は公園を歩いているかと思うほど、整備が行き届いてるね。
毛無山へ誘導する道はあるんだが、下には谷が流れ、緑のトンネルで陽射しが遮られている、このままこの道を行こうかい。
ゆるゆるとした登りなんだが、谷の瀬音もいつのまにか途絶えたね。大きく道を曲がれば避難小屋がある。道端の水道の水が出しっぱなしなんだ。水を止めないでください、ふぅん、水の供給には困っていないんだ。
すぐに出雲峠、ここが島根県との県境なんだね。もともと、スタート地点がこんなに県境に近いとは知らなかったな。
ブナ純林烏帽子山への登り道なんだが、山の尾根道を、燃費効率的に一直線に登る、などという野暮なことはしていないんですよ。
山腹から山腹へ、さらに折り返して山腹へ、という、疲れにくい道になっている、昔ながらの仕事道なんだろうね。
そのへんは、GPS軌跡図を見てちょうだい、なんでこんな迂回道?という疑問に答える姿が出ています。
さ、烏帽子山の頂上だ。風衝で丸い頭の頂上なんだね。真向かいに、これから登る比婆山が見える。
反対側を見ると、吾妻山が尾根の先に立ち上がっている。烏帽子山から吾妻山への尾根が県境になっているんだね。
御陵烏帽子山と比婆山の間はたいして下りた気がしない。タオにはブナ林天然記念物の看板が立ててある。
なるほどなぁ、見渡すとブナの純林だなぁ。
比婆山は霊山と、畏れ敬って伐採の斧を入れなかったのだなぁ。ブナの極相林になっている。
頂上は平らでどこが頂上なんだろう。御陵があって、真ん中に巨石が鎮座し、垣が取り巻き、そこが頂上と宣言してある。
御陵と言っても、宮内庁管轄のものじゃないんです。ミカド誕生のはるか昔にさかのぼります。
池の段から比婆山を国創り神話のイザナギ・イザナミノミコト、そのイザナミを出雲と伯伎(ほうき)の境のここに葬った、と古事記に記録があるそうな。
古事記伝承は宮廷の仕事、そんなことより何よりも、現実に祭って受け継いできた麓のひとびとの心根を汲んであげなくちゃね。
御陵を眺めながら、畏れかしこみて、はるか古代のことを思い浮かべようじゃありませんか。
比婆山は御陵を含め、ブナの森に包まれて展望の効かない山だね。
わずかに木々の切れ目からこれから行く立烏帽子山の稜線が見える。タオへ下りて、登り返さなきゃならんのだ。
池の段から立烏帽子山をタオへ下りる道は風の道、吹き抜ける風のおかげで汗もすっかりひいてしまう。
タオの名前が越原越え、おっぱら越えと読むんだとさ。タオには管理センターへの道があるが、まだまだ余裕、完全一巡りしようよ。
尾根道に取り付いて、下ったぶんだけ登るのだが、苦痛はないね、道はたおやかなんですよ、登りやすい山なんですよ。
登り詰めれば池の段、頂上は風衝のせいで潅木と芝生、陽射しが照りつけるところなんだね。
見通しは効いて、来た道の烏帽子山、比婆山、その後ろの吾妻山、猿政山がよく見える。真向かいにはこれから登る立烏帽子山がそびえている。
立烏帽子山頂上の地面には池の段と石標があるが、それはそれとして、尾根の先が正しい池の段らしい、行ってみるかね。
なんということのない風景だが、すこしおかしい。常識と反しているぞ。
北の県境地帯より南の山々が屹立しているように見えるがそれは何故、それはね、南に毛無山(福田頭)がそびえてるから。
分水嶺より高い山があると異様な感じがするね。いずれは行ってみたい山だよね。
引き返して先に行こう、立烏帽子山は尖っているわりに簡単に登れる。頂上は樹に包まれているから展望は期待しないでね。
立烏帽子駐車場から管理センターへ下りる道はなかなかのものだよ。名前が立烏帽子、さすがに尖った名前の通りだよ。これを逆に登ると、苦労するだろうね。
ドアをバタンと開け閉てする音、タイヤが砂利を噛む音、そうなんです、林道があって、立烏帽子駐車場があるんですよ。
なんだなんだい、ここまで車で来れるんかい、立烏帽子を迂回して池の段まで行くショートカットの道があるのかい、池の段さえショートカットして越原越えまで直に行ける道があるのかい。
ここから管理センターへ戻る道は、林道から離れて、黄色い鎖で閉ざされた道を行くんだね。
ここの道も広いなぁ、今までずっと、道幅は2メートルはあったさ、3メートル以上の幅さえあったよ。狭い箇所はあまり無くて、立烏帽子の下り道ぐらいだったな。
管理センターへ戻ってきたさすが国定公園、たいしたもんだと納得だね。
ええとね、立派な道なんだがね、どこまで進んでも案内標識がさっぱりないよ。
迷う気遣いはないとしても、あと距離はなんぼなんだい、時間はどれだけかかるんだい。
ブナの幹が細くなってきたよ。伐採を重ねて二次林三次林なんだ。霊山のエリアから抜けて、里山の雰囲気に近くなってきたぞ。
展望園地までやってきた、烏帽子山が見える、比婆山は見えない。東を向くと、伐採してスキー場にした山が見える、猫山かしら。
何度も折れ曲がって下りながら、やっと管理センターまで帰ってきた。
ふぅん、ここは泊まれるばかりじゃなく、風呂まであるのかい、今日はすぐに帰るから風呂はやめにしとこうな、また今度。

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詳細地図、地図上でどこで撮った写真なのか解ります




カシミール展望図をつけました。立体的に地形が浮き出て一目でイメージを把握できます。


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