2011年9月27日
しぇるぱ単独
山域:島根県美郷町

充満山、藪に阻まれて

 

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国境の標塔島根県を、山歩きにせよ、自転車を漕ぐにせよ、動いているうちに気になる山が出てくるもんです。
それが充満山、島根県の飯南町と美郷町を行ったり来たりしているうちに発見しました。
無名な山で、ネットで検索をかけても基本的なデータしか出てこない山です。誰も登った記録などありはしない。
何が面白いと思ったの?
それはね、名前が面白い、充分満足できる山、なにかが充満してる山、そんなイメージが湧くじゃないですか。それとね、谷から傾斜がぐっと持ち上がっている、低いけれども手ごたえのありそうな山のようだよ。
赤名トンネルを潜って島根県へ、飯南町なんですよ。飯石郡の南だから飯南町、命名する根拠があるよねぇ。
国道54号線から離れて県道55号線、166号線と続いていく。
峠にさしかかって、美郷町と標識があるびごうちょうと読むのか、みさとちょうと読むのか、読み方があいまいな名前は困ったもんだね。
美郷みさと町と読むのだよ
リーダー的な街は粕淵じゃないか、堂々と粕淵町と名乗ればええのにね、No.1があってNo.2がはるか格下だもの、どこに遠慮があるものか。まぁまぁ、そこは大人の配慮というものなんだろうね。
林道の入り口峠には、国境の標塔というのがあって、従是石見ノ国とある。標塔の反対側には、従是出雲ノ国とあるのだよ。(従是はこれよりと読むのだよ)
律令国家から幕藩体制まで、連綿と続いた旧国の境界も、今や、交通事情や嫁取り婿入りの親しい関係などで、町村が合併して、
国境くにざかいがあっちへ動いたりこっちへくっついたり、なんですよ。
この峠では国境は動いてはいない。国境の標塔があるくらいだもの。
ところがね、ここからごく近所、南西の谷の集落が国境を越えて今の飯南町に繰り込まれているんですよ。昭和28年のこと、当時は合併狂瀾怒濤時代で、国境・郡境など考慮すべき対象にはならなかった、合併の障害にはならなかった。
つまりは見かけ上、出雲の国のテリトリーに入ったわけだ。石見の国のテリトリーからは抜けたわけです。
人国記などの本があって、国別の人情の違いだの、あっちの国とこっちの国は仲が悪い、なんてことを言いますよね。
その場合、最近、動いてしまった地域のひとはどの立場になるんでしょうね。
そうか、そうか、そんなことは意識していないか、どうでもええことだったね。
峠から下って、大字の名前は酒谷なんだが、小字の名前が市、あるいはバス停の名前が吾郷谷、ここのところに充満山の案内指標があります。
林道の終点あ、誰かがいる。すみませぇん、充満山に登ろうと思うんですが、どうでしょう、最近、登山者はいますでしょうか。
さぁのぉ、登ってのひとは見ませんよのぉ。最近、泉山城址じゃの、充満山頂上じゃの、案内の柱を持って上がった、ということは聞いとりますがのぉ。地元の集会所の町おこしでのぉ。
あ、そうなんですか。案内の柱があるなら頼もしいです。
林道を入って行こう。谷の水路を直している重機がいる。すみませぇん、充満山に登るひとは見ますかねぇ。
いんや、見んでぇ。何しに登るん。調査かい、仕事かい。
いやいや、遊び、遊び。何が面白いん、真正面から聞かれると返事に困るね。ただ単に山に登るなど、理解を越えているんだろうねぇ。
林道を歩いているうち、林道交通安全の旗がある。近畿中国森林管理局、(社)林道安全協会、旗の責任者はここなんだよ。行政と天下り先、こういうセットになっているのだね。
砂防ダムがあって、第二の砂防ダムのところで林道は終わっている。この林道は砂防ダムの建設道路だったのだ。
砂防ダムから先の谷には踏み込みようもない。谷の右岸の尾根を登るしかない。
ここから先は無理最初からえらく急だよ。膝が胸につくほど足を高くあげて登って行かなきゃならない。
サルトリイバラに注意、こいつは生きていても絡みつくし、去年の枯れ蔓でも絡みつく。
サルトリイバラを知らなくても、カシワモチの葉っぱ、と言えばわかるでしょう。葉っぱをむしって、カシワモチを包むのだよ。
そうか、あなたは東京人?東京のカシワモチは柏餅なんだよね。サルトリイバラの葉っぱではなく柏の葉っぱなのだ。
関西から西ではサルトリイバラを使うが普通なので、名前はカシワモチではあっても、柏の餅ではないのだよ。それでもあれはカシワモチなんだよね。
まだまだ急な尾根道は続く。道とは言うものの、昔々の杣道なんだよ。足元を探って固いところを探す。枝を跳ね上げて通れる空間を確保する。
尾根道の一部が掘られて、むきだしになっている。完全に土木工事なのだが、用途不明、意味不明、むきだしの先端まで歩いても、その先に道があるわけでもない。
まぁ、ええさ。世の中には訳の解らんこともあるもんだ、無理に理解しようとせず、パスしてそのまま進もう。
尾根の末端まで出たぞ。明るい空間が開けている
充満山タワの向こうに充満山があるのだが、藪が濃くてどうにもならない。右にも左にも、行けそうな踏み跡はない。
ここは禿げ地で、灌木ばっかりなので展望が効く。
おおざっぱに南方向、赤名スキー場に連なる山が武名ヶ平山、武名ヶ平山の峰続きの背後に女亀山、その続きには江の川への切れ目が見えている。ぐるっと東に向かうと琴引山
これ以上進めないとなると、来た道を引き返すしかない。急な傾斜に注意して、サルトリイバラにも注意して、降りていくしか方法がない。
さて、降りて来ました。砂防ダムの堰堤が見えている。
林道を歩いて、県道まで降りてきた。
駐車した場所まで戻ったが、とうとう見つからなかったな、標識の柱を担いで上がった、という話はどうなったんだろう。
充満山という矢印標識の方向が微妙じゃないか。林道を指さしているのではないよ。簡易水道のフェンスの方向を指さしているよ。
その向こうに道がある。ちょっと入ってみようか。枝道がいっぱいあって、どっちに進めばええかよく解らんな。
林道の出口道はとうとう塞がれてしまいました。この先、どこかに道は続いているのだろうか。
帰ってから、美郷町役場に電話してみました。
登山口の家のひとに聞いたのですがね、充満山に地元のひとが登山道標を設置した、というのは本当でしょうか。観光課・林業課ではなく、コミュニティセンター集会所のことに詳しいひとをお願いします。
はい、わたしが企画課、コミュニティセンター担当のものです。お尋ねの件、去年、地元で標柱を運び上げたのは事実です。
続けて実施する予定だったんですがね、今年は地元の老木を回復させることを優先することになりましてね、充満山の整備は先送りになりました。
そうなんですか、その道は、地元で整備した道は、どこから入って行くのでしょうか。
わたし、地元の人間じゃないんでね、ちょっとそこまではわかりません。
ありがとうございました。
そうか、そうか、地元の酒谷集会所の近所で聞き込みをするか、来年整備が再開されるまで待つか、どうしたもんかなぁ。
充満山、今回は藪に阻まれたけれど、このままで終わらせはしないからね。

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詳細地図、地図上でどこで撮った写真なのか解ります



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