1999年7月10日
しぇるぱ単独
山域:広島

日本のピラミッド、葦嶽山

大阪出発、高速中国道を西へ西へ、広島県に入って東城インターチェンジ、ここだ、降りるぞ。
料金所の人はかなりのお年寄り、聞いてみよう。
ピラミッドの葦嶽山はここからいくんですか。
あぁん、葦嶽山、聞いたことがありませんがのぅ。
そりゃどぅもぉ。あれま、地元でも知らんのかいな、えらくマイナーな山だね。
道は高速出口から庄原、上帝釈のほうへ向かえばええのだ。
ほらね、たちまち帝釈峡の入口、今日は寄り道はしないよ、真っ直ぐに葦嶽山へ向かう。
東城インターでは無名ですが、庄原インターからは案内が完備しています。
めちゃめちゃチカラコブを入れて宣伝してます。
見えたよ、でかい看板、「日本のピラミッド」葦嶽山、ここから横に入ればいいわけだ。
まるで様子がわからないからね、看板の絵地図をとっくり見ておこうぜ。地図も持たずにうわさだけを聞いてやってきた不良ハイカーなんですよ。
ふむ、コースは二つか、野谷経由と灰原経由、どっちにするかは行ってからにしよう。
野谷入口、ここに車を置けるかな、パス、灰原経由にしようか、いや凄い、車幅かつかつの舗装林道だ、峠に葦嶽山、分岐の標識がある。この奥だな。
何ケ所か葦嶽山入口の指導標があったが、ともかく車道の終点を目指して、とう とうとう林道の終点、これ以上は行けないね。
歩きの始まり、公園みたいだね、文化庁か環境庁か、役所の指導スタイルがあるのか、階段の作り、道の幅、どこもかしこも同じだね。
急な階段に対抗するには悪態つくことでバランスとることだよ。
階段を登ってしまえばあとは山腹の広い道、道が広いぶんだけ木陰がない、暑いのに悪態ついてもこりゃぁ無駄だね、よけい暑くなる。
向こうから若い娘さんが二人くる。
こんにちは、葦嶽山への道はずっとこんな道ですか。
はい、そうです、これをあげます。
あ、どうも、地元の方ですか。
いえ、倉敷からきました。
わたしは大阪。
では、気をつけてぇ。
コピーをもらったよ、地元のハイキングガイドだな、全然知らずに来たからありがたいな。
最初のベンチ
鳥居の向うに葦嶽山があります。
ベンチがあった、休憩、鳥居があるぜ、鳥居の向こうを透かしてみると、三角の頂点だ、頂上に白い旗がある、これが葦嶽山なのか。
とんとんとんと頂上に到着、ふうん、ここが葦嶽山なのか。
葦嶽山頂上
足許には太陽石とそれを取り巻く環状石があったということだ。
山頂で発掘したご神体石には神代文字が刻まれていた。
エジプトとこの山の緯度が一致する。
スフィンクスの視線をたどるとこの山に行きつく。
なんとも、眉に唾をつけて聞かなきゃならないお話だね。
さっきのコピーを見てみよう。
1934年酒井勝軍はこの山を調査し、今から22300年前の3月13日に築かれた帝王の墓であると発表し、以来、日本ピラミッドという名前で世に出たのである。
なんとなぁ、いかにもインチキ臭いところがうれしいね、山頂には太陽石とそれを取り巻く環状石があったそうな、時の政権は、世を惑わす淫祠邪教の類として太陽石と環状石を破壊した、地元の観光協会の看板にはそう書いてあるよ。
鬼叫山(ききょうざん)
中腹に白いものが見えますか。
そこが拝み場に当たります。
谷向こうが鬼叫山かい、おもろい、行こうじゃないか。
山腹にあるのが、供物台、獅子岩、方位岩、鏡岩、神武岩、なんだってこんな狭い範囲にぎゅっと固まっているんだろ。
供物台、ひな壇みたいな石の段、これはよくある姿だね
獅子岩、へぇ、獅子が冬至の日没の方向を向いているんだと
方位岩、割れ目が方位を示す、南北線から30度ずれて夏至の方向を示す、ただの見立てじゃないか
鏡岩、え、角が90度だぞ
神武岩、四角な石柱じゃないか、てっぺんに丸い穴がある
供物台(ドルメン)
このひな壇のひとつひとつに供物を供えたといいます。

これは上から見た写真、クリックすると下から見た写真
方位石
夏至線の方向を示すのだそうです。
獅子岩
獅子の顔といわれるとそう見えなくもない。
鏡岩
ううむ、この平面と角度は自然のものといえるのかどうか。
神武岩(屏風岩)
立て札によると
神代アヒル文字が刻まれていたこの岩一帯は
大正の初期、神武天皇の財宝が埋められているという噂が流れ
大勢の人々が押しかけて石柱を倒して財宝を探しまわったために
今では、この一本しか残っていない。
後が鏡岩、なんとも幾何学的な構成だなぁ。
うぅむ、ただの自然物だと思っていたが、人工物かも知れない、広い範囲に散らばっていればともかく、こんな狭いところに集中しているのは意図がありそうだ。
縄文の頃だといっているが、その頃、縄文人は石工の技を持っていたかなぁ。

葦嶽山
供物台からの葦嶽山、なるほど、この位置から見た足嶽山はピラミッドそのものだなぁ。
鬼叫山
拝み場から先はあまり見るものがありません。
誰も行かないので、笹原の道です。
インチキと真っ当の間を揺らいでます、よくわからんね。
鬼叫山、山頂へ行ってみようか。誰も行かないと見えて笹藪じゃないか。
行き過ぎちゃった、山頂表示がないんだ。はい、記念写真。
降りよう、あれ、道が判らない、候補は二つある、まず怪しい方を行ってみよう。 葦嶽山を横にみてそれて行くからこれは違うね。
もう一つのほう、正解、道に覚えがある。
鬼叫山に登る必要はないね、展望はない、うっとうしい笹原、怪しげな踏み跡、 止めときな、とみんなに言おうぜ。

なんでわたしが葦嶽山を知っているか。
ざっと十年前、サンデー毎日が葦嶽山を紹介したんですよ。
青森のキリストの墓、長野県のなんとかというピラミッドの山、幻のニホンオオカミ、ツチノコ、ここご当地のヒバゴン、二ケ月にわたって異説怪説を特集したもんです。
サンデー毎日は気が狂ったか、と思いましたよ。どんな事件があろうと特集はこればっかり。やっぱり企画が当たって売れたから続いたんでしょうね。
おかげで、葦嶽山は有名になって、815Mの平凡な山が整備はされるは、わたしまで行く気になるは、たいしたもんだよ、サンデー毎日。
関連 再び葦嶽山、野谷から
カシミール展望図をつけました。
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