刈込み池

渋滞がすごかったなぁ、ここは福井県大野市、どうにか上小池キャンプ場までたどりついたね。
福井インターを出てからは、国道１５８号線、ＪＲ越美北線の勝原（かどはら）駅のあたりが分岐のポイントなんですがね、鳩ケ湯の看板があるからこれに従うと、たどりつけます。そこからさらに道の果て、どんづまりまでドライブします。はるかに遠いよぉ。
テントも張った、じゃ、刈り込み池目指して出かけましょうか。
張り紙があるよ、刈込み池にはこのキャンプ場から真っ直ぐに行けるようだぜ。

去年はそんな案内は無かったよね、知らないからそのまんま引き返して大道をたどって行ったね。
ここだよ、刈り込み池へは、ぐるっと円を描いて周遊するんだがね、川を渡ってここから入ってみようか。
そうね、去年はだらだらと川沿いに登って、行けども行けども爪先上がりの道なので途中でハテタものね。一気に登るのもいいかもしれない。
うへぇ、きつい坂だな、下の川があんなに低いところに見える、簡単な周遊コースと思ったら、とんでもない反撃があるな。

きみは元気だな、わたしは連日の睡眠不足とドライブ疲れでよれよれになってしまった、ちょっと待ってくれぃ。
このへんは風が涼しいね、ブナの森の中を風が抜けるのは蘇るようね。
登りきったよ、あとは降るだけ、あれれ、池が見える、あれが刈り込み池なのかな。
やれやれ着いたぞ、静かな池だな。
水が流れ出す出口はこれ、というところが判然としないのね。湿地はあるけど流路じゃないね。ガイドブックに水の出口がないのに水量が一定、とあるのはこのことなのね。

看板がある、白山開山の泰澄大師の伝説の池のようだね。なになに
｢白山信仰と竜の伝説には密接な関連があり、この池にも次のような伝説が秘められています。
この付近は昔、大蛇が多くすんでいて、住民を苦しめておりました。
それをみて泰澄大師は、白山開山のさい、千匹の大蛇をかり集め、法力をもってことごとく貫き
『汝等かくもあさましき姿をもち、悪食を好み、三熱の苦を受けるよりは、この池に入り弥勒の出世を待つがよかろう』と諭しました。
大蛇はみな涙を流して角をふせ、自分の姿を桧に残してことごとく池に入ったと言われています｣
さて、帰ろうか、川までは急な下り坂だな。
谷の中腹が崖崩れでせきとめられた、それが刈込み池の成立の起源らしいね。

こんな高いところに宙吊りでピンで留めたような池があるとは想像しにくいな、地図で見たイメージと自分で登った実態との差は大きいね。
だらだらと登るか、一挙に登るか、人それぞれだが、どっちが楽かねぇ。
去年このへんでいやになって引き返したとこね、ここここ、ここから白山三ノ峰に登った分岐だよ。
そうだったな、刈り込み池は二年越しでやっと宿題を果たしたな。

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