燕岳1998年7月12〜13日
しぇるぱ単独
山域:北アルプス

キツネと遊んだ燕岳

新車を買っちまったい。運転馴らしをかねて、いってくるかね。いままでのは四駆だったが、あまりに燃費がかかるので、二駆に変更。
そりゃそうだね、四駆は100KG車の重量が重くなる、そのぶん、燃費がかかるのは当然のこと。
ナビゲーターを入れたんですよ。面白いね、当分オモチャに使えそう。

中房温泉、登山口


9時に中房温泉の駐車場着、ほほぅ、トイレが新築になってる、トイレやなんだかんだで手間取って9時半出発。
いきなりの急登でまいるなぁ。このコースはこれで3度目。
最初は表銀座コース、東鎌から槍にいったよなぁ。
二度目はいつだったかね、5月の連休あけに単純往復。
あの時は山小屋は雪から掘り出したばっかりで、小屋中湿ってて布団が重かったなぁ。
このへんのカラマツ、5月ころは若芽が薄緑でどこもが全部パステル調だったよな、今ははっきりと黒緑でお愛想のないこと。

第2ベンチ、岬の突端です

ついた、第一ベンチ、ともかく休憩、全身汗だらけですよ。まだまだ麓の渓流の瀬音が聞こえる、まだろくに登っちゃいないんだ。
さらに傾斜がましてくる。第二ベンチはまだか。
カラカラと音が聞こえてくる、あれは合戦小屋への荷揚げのケーブルの音だ。
ケーブルの交差点に第二ベンチがあるからもうすぐだ。
あぁ、ついた。ケーブルの行く先に合戦小屋がある、ふむふむ、大体あのへんか。
この判断があとで手痛く裏切られます。やたらと近くみえるんですよ、ところが、もうこのへんだろうの見当はあてはずれで、はるか先でした。

第二ベンチからはしばらく水平道、やがて傾斜がきつくなる頃、なまあくび、ねむたいよぉ。
昨夜は夜道を走ってあまり寝ていない、シャリばてというのはあるが、これはネムばてだなぁ。
辛抱できない、寝てしまおう。
都合3回、寝てしまった。

富士見ベンチでみたキツネ


それぞれ、5分、10分程度の昼寝だが、気分はスッキリ、ところが筋力が弛緩してからだがだるい、疲れが体にからみついてきます。それでも休み休みでも行かねばなるまい。
第三ベンチをすぎて、ここは富士見ベンチ、休憩だ、休憩だぁ。

あれ、なにかいる、犬か?キツネだよ。
遠慮なくザックに近づいてくる、ははぁ、ザックにくくりつけた昼飯のゴミのビニール袋を狙っているな。
「これはやれないよ、残飯のくせをつけるときみは野性を失ってしまう」
「きゃぁ、かわいい。みてみて、キツネ」
「可愛らしいが、眼はするどいね」
5人の観客の前で近づいたり離れたり、人馴れしていて、こうしていると、餌をもらえることを学習している。
おまえはキツネなんだよ、残飯に頼るな、野ねずみをとれよ、ウサギをおいかけろよ。
「燕山荘のゴミ捨て場にすみついてるよ。ゆうべテントのロープがキツネに食いちぎられてた、味がついていたんだろね」
「へぇ、そんなことがあったんですか」

燕山荘

長いなぁ、ぼちぼち合戦小屋なんだがなぁ。
合戦沢の頭、こことにらんでいた上部の崩壊地はとうに過ぎたぞ。
森の傾斜もゆるくなってもうつかなきゃならん頃だがな。
あ、標識、あと7分、あと3分。この7分、3分ちゅうのがきついんだよね。
やっとついた、合戦小屋。ここまで来ればしめたもんだ。

合戦小屋をでると山容がだいぶはっきりしてくる。
喬木が矮木に変ってくる。木の間が透けて風景がでてきます。
あれが大天井岳、常念が向こう、ほら、槍の頭が見えてきた。
三角点までくると、燕山荘が見える、がんばれ、すぐそこじゃないか。
あえぎあえぎ足を前にはこんで、とうとうついたぜぇ。

標準タイムで4時間40分、ま、5時間かね、9時半出発、4時半着、7時間かかってしまったよ。
途中昼寝したとはいえ、時間がかかるようになってしまったなぁ、歳だねぇ。
職業上の定年が間近だけど、北アルプスも定年も近いねぇ。

燕岳、後ろは北燕岳


今日は燕岳、北燕岳、山容が全部見られた。
今までは先を急いだり、ガスの中だったりで、ろくに様子がわからなかったが、今度は全部みえた。うれしいね。
今日の泊まり客は12人、狙いは大成功、1部屋まるまる使ってらくらくと寝ることが出来ました。
世間はまだまだ梅雨と思ってます、ところが梅雨はもう明けたんだよ。その隙間をねらってうまいこといきました。

燕山荘と常念岳(朝)
燕山荘から槍ヶ岳(夕)

明けて翌朝。
天気は曇天、そのぶん、ガスの湧き出しがなくてよく見える。
初めて燕岳の頂上に登ったよ。
東の八ヶ岳、南アルプスは雲ではっきりしないが、北アルプスはよく見える。
鹿島鑓、立山、槍、大天井、裏銀座はみえるんだが、似たような山ばっかり。

下りにあったひと

「槍はみえましたか、きょうは槍を見にきたんです」
「見えます。今日はガスがないのでとてもよく見えます」
わたしと同年輩だろうね、目的を限定して無理しないところがいいね。

「ザックはどうしました、手ぶらなんですか」
「オホホホ」
おばちゃん3人組、さては、合戦小屋へのケーブルに便乗して積んでもらったな。
ちょうど来たケーブルを見るとザックが積んである。(このへん、無責任発言だから聞き流して)

「こんにちわ、ツァですか」
「???絶句」
「山頂往復ですか」
「そうです」
自分で勝手に用語を作るなよ。
ツァとはたいてい団体旅行だろうに。わたしは単独だぞ、団体のはぐれに見えるかい。

カシミール展望図をつけました。
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