芸石国境、境界を分ける長瀬川

2014年3月24日

芸石国境の長瀬川を、江の川合流点から源流まで探索

 

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地図を眺めていて異様な状態に気が付きました。異様な状態とは、オカルトでも超常状態でもないよ。そういうことじゃなく、風景のありようが常識的じゃないのです。
江の川に流れ込む川に長瀬川があります。この長瀬川の半分以上が県境、国境になっているのです。
川が県境、国境になっているのは、広島県山口県の境界の小瀬川、江の川にもあります。
他では知らないなぁ。近畿と中部地方に土地勘があるが、わたしの見聞した範囲にはない。
県境、国境は山で区切っているのが通常です。川で区切るのは、確かに明確だが、侵攻しやすい、されやすい。自然の境界以上に政治の境界では危ういものがあります。
江の川を下って、式敷の駅を過ぎ、安芸高田市高宮町川根の地内に入る。集落名が三田、そのあたりで大きく道が膨らんでいるので、そこなら駐車しても苦情を受けることはないだろう。
梶矢橋を渡って、長瀬川の堤防を江の川への合流地点の近くまで寄ってみる。長瀬川の源流を極める旅だもの、放流点を確認してサイクル・ツァーの最初とするわけですよ。
長瀬川は川幅いっぱいに流れている川ではない。今は細流だが、豪雨のときは川幅いっぱいの濁流になるぞと、広い河原を抱えている。
県道4号線から県道109号線へ道を変えて行く。
長瀬川が田草川と長瀬川に分岐する。田草川のほうが本流のように見える。直進しているし、水量も多そうに見えるので、間違いそうになる。
ここは橋の手前で右折するのだ。橋に銘板がないので決め手に欠ける。地図からするとこっちでええはずなんだが。
進むうち、ながせ養魚場が対岸に見えてくる。そこでやっと、これでええのだ、この川は長瀬川なのだと安心が出来る。
エコヴィレッジかわねという施設に出会う。このあたりの対岸は島根県になるのだよ。ここのあたりで島根県と隣接し始めるのだ。
ここから、久喜の交差点まで、川が境界で、道は島根県側に渡ったり広島県側に渡ったり、橋を渡るたびに県境を越えることになる。
幾つかの集落を抜けて行く、大きい集落もあるし、二軒しかない寂しい集落もある。川の北側の集落は島根県、川の南側の集落は広島県に属しているのだ。
甚だしいのは川を挟んで民家が向き合っている。近いけれどもそれぞれの県は違うのだ。
畑で草を抜いているおばちゃんがいたので、聞いてみたが、あまり話に乗ってこなかった。深く聞かれるのが不愉快なふうだったね。他郷の人が面白がるのが不本意なのかもしれない。
ころころ県境が変わるので、県道の保守点検が面倒なことになる。真ん中で二つに分割してしまった。片方が島根県の管理、もう片方が広島県の管理に分けてある。
この取り決めに基づいて、他県の道でも自県と同様に保守点検するわけだね。
上流で、川沿いに進むか、川から離れて進むかで悩んでしまった。あまりに坂道が急なので、これは間違っているのではないかと怪しんで、引き返して川沿いの道を進んだ。
右岸の道も左岸の道も、川から離れて高い位置に道がある。進みながら、両者を結ぶ橋はあるのだろうかと心配したもんだよ。
橋はありました。あったが、川辺まで降りてまた登り直さなきゃならない。地元の人なら判っている道だろうが、よそ者には判断に迷うところだよねぇ。
久喜の交差点、交差点から南に県境の標識が見えている。この道は幹線県道だから標識があるが、さっきまでは県境標識などありはしなかった。何度も何度も県境を越えたのに。
ここには久喜大林銀山の里と案内がある。ここは江戸幕府天領でこのあたりここかしこで銀を採掘したのだそうな。
幹線県道から離れて長瀬川の谷を進む。久喜銀山跡とあって、坑内から水が流れ出している。これは鉱山の水抜き穴なのだそうな。
この坑は明治になってから発見された坑口で、江戸時代よりもっと多量に採掘したのだそうな。
明治35年が最盛期で、鉱山の関係者が2千人を越え、繁盛したのだそうな。抗口が落盤で埋まり、明治41年には廃坑になったのだそうな。
知らなかったな、大森の石見銀山は有名だが、ここにも銀山があったのかい。
後木屋の集落を抜けて、ここで舗装が途切れたぞ。この先は未舗装の草生した道になってしまう。
ちょうど奥から、ストコンストコンと単車が降りてきた。この道は行けますか。石ころだらけの道よぉ。自転車じゃ無理じゃろうね。
ここまでにしようか。長瀬川を遡ってたんぼが尽きるところまで追ってきたのだ。これで充分。
帰りは来た道を引き返す。久喜の分岐を長瀬川沿いに戻っていく。一部、意に反して間違えた道はきちんと通って戻る。
来るときに見た島根県管理区間の標識は、反対から見ると広島県管理区間で、県境の道のメンテは合理的にやっているんだね。
降りて行くのは簡単なことで、たちまち出発地点まで帰ってきた。
梶矢橋の上から長瀬川が江の川に合流する地点が見えている。下流は平凡な川だが、中流は県境、国境の川という、ちょっとユニークなところがある川なんだよ。
参考 一部分でも重なっているコース
2009年_4月_7日 江の川中流域、三次から県境まで往復

 

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長瀬川の合流点 長瀬川 田草川と分かれる 島根県管理区間
橋を渡るのが正解 久喜大林銀山の里 久喜銀山跡 ほぼ終点
後木屋の集落 久喜の分岐 広島県管理区間 梶矢橋から

 

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