中国観音霊場巡拝
第25番 浮浪山一乗院鰐淵寺
平成17年4月22日巡拝
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鰐淵寺は出雲大社の別当寺だと聞いたぞ。
別当寺とは、巨大施設のかたわらに居て、マネジメントを担当し、場合によっては、財政をも乗っ取ってしまう、恐ろしい存在なんだがね。
厳島神社と大聖院、由加神社と蓮台寺、那智大社と青岸渡寺、けっこう危険な関係にある場合がありますよ。
なら、両者の関係を見定めようじゃないか。出雲大社にまず向かわなきゃね。松江広島間はさんざん行動したが、出雲大社に詣でるのは始めてなんですよ。
なるほど、大社造りとはこれなのかい、切妻の横手が正面、直方体の短辺と向き合うカタチなんですね。
出雲大社はおおよそ理解したぞ。これから鰐淵寺に向かうとするかね。
海沿いに行けば鰐淵寺に行き当たるだろうと、走り始めたが、これは大間違いだった。
道は日御崎へ向かう道だった、当然、途中で折れ曲がってコースを修正するよね。出雲大社から北に真っ直ぐ行けばええのに、三角形の2辺を行って、他の1辺の頂点で合流したことと同じことをやってしまった。
道は狭いよ、海沿いの道で、海は荒れているよ。今日は強風が吹いて波は打ち寄せ、沖には白い兎が走っているよ。
こんなところで対向車が来たらどうするんだろ、来ないことこそ幸せだよ。この道は観光バスもダンプカーも無理な道だね。
どうにかこうにか河下町、そうそう、この海は十六島湾という珍しい名前だから覚えといてね。
ここから谷沿いに進んで行くんですよ。猛烈に山頂の山肌が崩壊した山が見える、あれは何だろう、自然現象なんだろうね、砕石事業の影響なんだろうか。
判らないまま、谷底の奥に進入していく、鰐淵寺の最初の駐車場、次の駐車場、奥にも駐車場があるらしい。
奥に進めば、どうやら鰐淵寺からは離れて行くみたい、引き返して二番目の駐車場に止めようか。
駐車場の立て札に、混雑する日でなければ山門までは自動車で進入できます、と書いてある、このまま進もうか。
狭い道だ、交わしようのない道だ、ほんとはこの道は歩いて進むべき道なんだねぇ。
山門に着いた。谷を埋めるモミジの樹は太いよ、なるほど、寺の歴史の古さが想像できるね。ここで橋を渡るのだ。
石段の下に庫裡がある、本坊と称しているね。ここに皇族しか通れないお成り門がある、近年、皇太子殿下が幼い頃に通ったことがあるんだとさ。門が開くチャンスがあってよかったね。
石段は長く、掃除をしているひとがいる、檀家のひとなんだろうか、信者のひとなんだろうか、荷物を持って来ているから住職の家族と違うのは明らかだね。
太い構成の本堂だね、毛利尼子の合戦の頃の褒美で、毛利が建てた、という由緒がある。どっちが勝つか、味方するか、の見極めは重要だね、シビアなものがあるね。
この鰐淵寺、ほんまに出雲大社の別当寺なんだろうか。
遠すぎるよ。山を越え海沿いに歩くにはほんまに遠い。往時のいつの時代かに、出雲大社が衰微して鰐淵寺の威を借りることがあったかもしれない。
両者にこれだけの距離があると、別当寺のマネジメント業務は執行できるわけがないじゃないか。
ははぁ、そこに出雲大社の狙いがあったんだろうな、別当寺の名目だけで中枢には参加させないこと。
時代が進んで、出雲大社の威厳が復活し、鰐淵寺が衰退すると、別当寺など、無意味なものになってしまう、という経過なんだろうね。
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