2003年4月6日
しぇるぱ単独
山域:兵庫、丹波

とんがり山、別の名前を丹波槍

 

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白髪岳松尾山を横目に虚空蔵山、北の迷い道でこんなやりとりがあったよな。
SUMIEさん、あの尖った山は何? へぇ、尖り山ぁ、そのまんまやないかい。
地図を眺めていると、ほんまにとんがり山というのがあるじゃないか。これは行ってみなくちゃなるまいね。
車で麓まで行くと、あっという間に終わってしまうので、電車で行って、駅から歩こうぜ。
JR丹波路快速古市駅、無人駅で、電車から降りたのはわたしひとりやな。この駅は、白髪岳松尾山の駅なんだよね。
駅から街道に出ると、古い道しるべ、右はりま道左大阪はりま、読みにくい字だが、そう彫ってあるんだろうな。
街道からとんがり山を踏み切りを越えて、次の郷が白髪岳松尾山の分岐なんだがね、今日はこのまま真っ直ぐに行くね。
街道は峠を越える、不来坂と書いて、こぬさかと読むんだとさ。
次の郷に出て、前景の山の上に尖った山がちょろっと見える、なるほど、とんがり山とは、よう言ぅた。
街道をどんどん進むと、住吉神社蛙の宮、大きな鎮守の森だね。その前をそのまま進むんだね。
道に陶器のオブジェが並んでいるぜ、立杭焼なんだね、そうか、十二支の動物のデザインなんだ。
なんとまぁ、信号がある、駅から始めての信号だぜ。交通標識に四斗谷とあるから、ここを曲がって間違いないさ。
池からとんがり山を谷は狭まって、堤で閉ざして池になっているよ。お、池の向こうにとんがりが見える。
カタチからして、とんがり山と麓のひとが呼ぶのはうなずけるね。異名があって、丹波槍なんだとさ。山遊びの仲間内の名前なんじゃないかい。はたして、地元のひともそう呼んでいるのかしらね。
四斗谷の集落に入ったぞ。へぇぇ、古い造りの民家の様式が変わってるね。入母屋と入母屋を組み合わせて、鍵の手の構造になっているよ。
こんなカタチの民家を見たのは始めてだな。東北の南部曲がり屋もこのカタチだが、そこはうまやを取り込んでいる、ここのはうまやじゃなく、客間か応接の間なんじゃないかな。
麓の民家道端にちいさな祠がある、方向を見ると、これはとんがり山への遥拝所だな。
集落外れに森が見える、鎮守の杜なんだろう。
舗装路から離れてそっちへ行こう。お堂があるよ、不動堂なんだね。覗いて見ると、ノウマクサンマンダの真言があるのでそれと解るね。
その後ろに妙見宮がある、中腹にあった宮を、最近、麓に降ろしたものだそうな。
奥への道は広いよ、昔ながらの参詣の道なんだもの、安心して進んでくれタマエ。
南無妙法蓮華経の石碑が三体ある、神仏習合の時代だもの、神も仏も同居していた頃のことなんだよ。固いこと言わないの。
不動堂からちょいと横道、妙見宮とは不思議なお宮で、仏教神道、融通無碍で、どちらにあっても不思議じゃないんだとさ。
NHKの共同アンテナがある、麓の四斗谷はTV難視聴の地域なんだろうな。
中腹の妙見宮に着いた。いや、言い直そう、昔にはあったその跡地に着いた。
今は石垣と杉楠モミの大樹が残っているだけなんだね。サカキなのかシキミなのか、香りがただよって落ち着く場所だね。
ここからの登り道は?と、周囲を探ると、宮跡の左に赤いテープがある、おぅ、ちゃんと細い道があるじゃないか。
これからは一挙に細い道なんだね。でも、しっかりと道になっているから、盛夏でも埋もれることはないと思うよ。
妙見宮跡ただただひたすら登る道やね、カシミールの断面図を見てちょうだい、その傾斜がうなずけるでしょ。
とりあえずの頂上やね、手前の横峰まで来たよ。ここから梢を透かすと三角の頂上が見える。
たらたらと下って、最後の登りにかかる。真っ直ぐに登らずに、横に流れて斜面を渡っているな。
テープがあって、ここから直登、ははん、大岩があるので横に迂回してきたのか。
稜線に乗ると露岩を踏んで行くのかい、ダイジョウブ、広い稜線だから岩を踏み外す恐れなどないさ。
ぱっと視界が広がって頂上に出た。
とんがり山頂上とんがり山の頂上には小さな祠が鎮座している、周囲は短い潅木だからよく見晴らしが効くね。
谷向こうには、白髪岳、松尾山、横顔が丸見えだから、白髪岳の岩場があそこと指差しできるよ。
祠の先からは、峰続きの西寺山、その向こうには西国清水寺の山が見える、駐車場の車がキラキラ光っているぞ。
南は木が邪魔して見えないよ。ざっと三分の二以上の視界が広がるね。
ガサガサ、なんだろ、トカゲが動いているんだ。トカゲの次には、蛇が冬眠から覚めるんだよね。この先、鬱陶しいな。
予定では、さらに峰通しに一周するつもりだったが、この先には道があるような無いような。
白髪岳、松尾山止めた、やぶの中を行く気がしない、もと来た道をそのまま帰ろう。
今度は南向きに下りるので、向こうに見える山が虚空蔵山と同定できた。虚空蔵から北への山も見えるぞ。
おや、だれか登ってきた。わたしと同年輩の夫婦連れだ。
こんにちわ。
なんの会話もなくすれ違ってしまった、目を合わさないひとたちだもの、話しかけちゃ迷惑かもしれないね。
マイナーの極みの山と思っていたが、ともかくも誰かと出合ったのだ、だんだんとポピュラーな山になっているぞ。
そう言えば、登りでくもの巣に全然かからなかったな、朝に誰かが通ったのかしら。
里に下りたよ。ここから駅まで舗装路を歩き抜かなきゃならんのか、やれやれ。

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詳細地図、地図上でどこで撮った写真なのか解ります




カシミール展望図をつけました。立体的に地形が浮き出て一目でイメージを把握できます。


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