2006年8月5日
しぇるぱ単独
山域:広島市佐伯区

しっかり急傾斜、湯来冠山

 

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麓から見る冠の姿先週は布野冠山、しばらくは冠山シリーズで行きたいもんだね。すると、次は湯来冠山にしようか。
広島北インターを出て、加計で分かれて湯来に進むのだが、その前に、加計の手前に冠山があるのですよ。名前が久地冠山。
この冠山もいずれは登ってやるぞ、と山頂に視線を送るだけで、今日のところは先へ進もうかね。
湯来の谷に入って、初めて見る風景のような気がするな、いやいや、台風被害の復興工事を見ると、前にここを通ったのを思い出した。
湯来町内の東郷山に行ったことがあるのだった。
一度通り抜けた程度では印象に残らないものだね。風景を見るたび、あらためて初対面の感覚を得るならそのほうがお得かしらね。
湯来町中央、旧町役場前の交差点は直進する。
ここからは県道を進むわけで、道幅は狭くなってくる。とりわけ、湯来温泉街の真ん中を抜けるのだが、狭いよぉ、向こうから対向車が来ていないのを確認して進んで行かなきゃならんよ。
ここが登山口湯来西小学校の案内を見過ごしてバイパスをそのまま進んでしまった。小学校は川向こうにある。バイパスから引き返して、旧道に入らなきゃね。
湯来西小学校を過ぎて、次の谷間に湯来冠山への登山口と看板がある。
谷の出口に駐車スペースがあるが、ちょうど、車を止めて、四人組がこれから登りにかかるところだよ。
もすこし詰めてくれていたら止める余裕があったんだが、しゃぁない、他を探そうか。
引き返して、道のふくらみ、釣りの連中が止めている、このスペースの残りに止めることにしようか。
山を眺めると、槍の穂先のような尖がりの山が見える、へぇぇ、湯来冠山とはあの山をいうのかしら。
実は、湯来冠山はあの山ではなかったのです。登山口へのイントロで素晴らしいカタチを見ると、ますます期待はふくらんでくるというものです。
林道は復興工事中となっている。なるほど、これは凄い。雨水はアスファルトを浮かして下の土を流して、でこぼこの道路面になっている。
一昨年九月の台風18号、これが猛威をふるって、中国地方一帯、あちこちで被害をこうむっています。
湯来町の水道施設湯来町の川は氾濫して、あちこちで護岸が決壊しています。湯来町は広島市に合併したんだが、合併していなかったら旧湯来町単体では応じきれなかったろうし、金食い虫だと、広島市は合併したのを悔やんでいるのではないかしら。
崩壊した道路面にはマンホールが突き出して残っている、刻印は広島市水道局、合併してからの新規事業も手荒い洗礼を受けたもんだね。
水道タンクが見えてきた、水道局のマンホールがあったので予想してたが、ここは湯来町の水源地なのかい。
広場の右側に朱塗りの水道タンクが見える、小さな水道タンク、その脇に道がありそうな気配がする。
ゴミ捨てるな、の看板があるし、小さな名札が括りつけてある、古いので、何と書いてあるかは読めない。
草を掻き分けると道がある、草むらは入り口だけで、そこを過ぎると立派な道になっている。
杉林なんだが、地面には石垣が連なっている、ここはその昔、たんぼだったんだろうなぁ。放棄してからだいぶ経つのだろうね。
谷を渡る、石に苔が生えて、危うくつるっと滑ったがセーフだった。
耕作放棄した田の石垣ほんとはここでどう進むか行き詰ったんですよ。対岸をじっと見ると、トラロープがあるのに気が付いて、ここが渡るべきポイントなんだと断定できたもんです。
ずぅっと石垣と植林が続く、ここでは、たんぼの水に心配はないけれど、日当たりが悪い、道が細すぎる、結局は耕作放棄せざるを得なかったんだろうねぇ。
竹はひとの手で移植されて繁るものなんだよ。竹林がある、ここが屋敷地だったんだろうな。竹林はここしか見当たらないから、一軒だけが住まいしていたんだろうな。
離れたところに
ほこらが残っている。
離散しても、土地神への祀りは今も続いているとみえる。
お宮、神社関連は苦手じゃないんですよ。墓地、お堂、篭もり堂、仏教関連は苦手だなぁ。廃寺などは怨霊が居そうで気味が悪い。
神社は、結婚式・地鎮祭など現世のかかわりが強く、寺院は、あの世への入り口のようで敬遠したく思うからなんでしょうかね。
正面の右手に、奥に進む道がある。
良かったよ、ちゃんとした道が続いて。往々にして、道は
ほこらまで、ここから先は塞がっている、こんな例が幾つもあるもんだよ。
住居は放棄したが土地神の祠ここからは谷を何度も渡渉します、さっきの渡渉を含めて、結局四回渡渉することになる。
ほこらから二回目の渡渉までは道が荒れていて、踏み跡をたどるのに、丹念に地面を観察しながら進もうね。
荒れ道はここだけ、次の渡渉からは涸れ沢だし、道もちゃんと踏まれているし、そんなに心配はないよ。
二回目を渡渉して、ここでもやはり、石垣と植林が続く。竹やぶのところに屋敷があったとするなら、上の田、下の田、中間のところに屋敷を構えたものなのじゃないかね。
植林を透かして、向こうに山小屋が見える。
山小屋と言うと勘違いされては困るな、作業小屋が見える。植林のメンテナンスのための小屋なのだろうね。
耕作放棄、住居放棄の原因は道だと思うよ。
荷車が通る道幅さえないもの、荷物は全部背負って運ぶしかない。麓に電気が通って、我慢の限界で屋敷を捨てたんだろうね。
入り口からこの先までずっと、植林、植林、植林、まるで風景は変わらないね。
谷間は広がって全部が植林踏みしめて、踏みしめて、傾斜は急で、緩む気配など全然ないよ。
四回目の渡渉でちょっと変化がある。今までは涸れ谷だったのに、ここからは谷に水が流れているんですよ。
手持ちの水を、頂上からここまでの間に飲み干してしまってもええ。ここで改めてボトルに水を補給すればええのですよ。
帰りに補給したけど、うまかったぁ。伏流水で、地表に隠れては現れての、何度も濾過しての水だから、そりゃぁうまい。
谷間が広がって山腹の体裁になってきたぞ。首を伸ばせば、傾斜がぐっとせりあがっているのがわかる。
山腹を稲妻に折り返しながら高度を稼いで行く。
やっと、稜線まで抜けられた。
看板があって、それを読むとここは「稜線」、なんと単純、そのまんまの名前じゃないかい。
山腹を登ってきたが、尾根を下へ下れば、打尾谷、打尾谷川、打尾谷集落へ降りる別のコースがあるのだそうな。
やっと稜線に乗るここは稜線沿いに上へ上へと登るべし、だね。左の登ってきた斜面は植林ばかりだが、右の反対斜面は自然林で、やっと植生に変化があったよ。
次のコブは避けて山腹を巻いていく、こういう道つくりは杣師そましの仕事だね、省エネの道つくりは彼らに任しとくべきだね。
なんぼ省エネがどうこうと言っても、急な傾斜はそのまんま登らなきゃしょうがない。忠実に稜線の道を進むしかないよ。
駐車場所で先着の四人組を見たが、もう降りてきた。
食事もすませて引き返すのだから、なかなかの足並みだね。わたしは傾斜に負けて、何度も休憩したので、これだけの時間差がつけられてしまったわい。
植林越しにちらちらと尖峰が見えていたんですよ。えらく尖った峰だな。あれは、登山口で見た冠の山だな。前冠、偽冠、仮冠、どんな表現にするにせよ、麓からは冠の山が見えるのだ。
その奥に本物の冠の山があるんじゃよ、と言い慣わしていたのだろうな。麓から頂上が見えないこの場合、前の冠の山から姿が想像できるとは幸せなことかもしれないね。
ほら、見えてきた、前の冠、偽の冠、仮の冠、どんな名前でもええよ、その全貌が見えるよ。
この冠は別の冠ここからは頂上の手前、傾斜がきつい、ということで、トラロープが設置されている
やっと到着したぞ。
ここが湯来冠山、1004.4メートルはあるんだよ。登山口が273メートル前後だから、結構な高度差を登ったということなのだよ。
遠くににみえるのが吉和冠山、安芸冠山とも別名があって、この界隈の冠山の王者の貫禄を誇っている。
あそこも登りたいのだがなぁ、夕方までに帰ってくるには、朝、夜明け前に家を出なきゃならない。しっかりと心の準備をしてとりかからなきゃならない、もうちょっとメンタルトレーニングを積んでからにしような。
頂上はブナとクヌギの混在林。え、ブナなの、ミズナラじゃない保証は?
ええのだよ、クヌギにしたって代表樹種を挙げただけで、コナラかもしれない、クリかもしれない、この際、ブナでもミズナラでもええの、純林ではないごく普通の混在林と語っているだけなの。
湯来冠山三角点この時期、展望を求めるのは無理だよ、落葉の季節に再訪するべきかな。
だけど、本音を言えばもう充分、ずっと植林の中を歩いて、ほとんど風景が変わらないのだよ、どうせ行くなら見晴らしの効く他の山に行きたいな。
さぁ、降りよう。
傾斜の度合いは、降りる時にこそ体感できるね。降りる時も慎重に足を置かなきゃならないことで、登りのつらさが納得できる。
降りたぞぅ。想像していた以上に時間がかかる山だった。距離はたいしたことないのに、なかなか抵抗の激しい山だったね。
冠山コレクション・リスト
    2000年_7月29日 冠山(福井県池田町、岐阜県揖斐川町)
    2003年_9月30日 中野冠山(広島県北広島町)
    2003年11月12日 可部冠山(広島市安佐北区)
    2004年_4月_1日 布野冠山(広島県三次市)
    2005年11月30日 石見冠山(島根県邑南町)
    2006年_1月30日 可部冠山2(広島県北広島町)
    2006年_7月28日 布野冠山2(広島県三次市)
    2006年_8月16日 久地冠山(広島市安佐北区)
    2007年_3月12日 冠岳(広島県廿日市市、大竹市)
    2007年_7月19日 田ノ原冠山(島根県邑南町)
    2008年_6月12日 吉和冠山(広島県廿日市市)
    2008年_8月_3日 吉和冠山、正面(広島県廿日市市)
    2008年_9月28日 吉和冠山、正面2(広島県廿日市市)
    2008年10月16日 都賀冠山(島根県美郷町)
    2012年_4月17日 石見冠山2(島根県邑南町)

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詳細地図、地図上でどこで撮った写真なのか解ります




カシミール展望図をつけました。立体的に地形が浮き出て一目でイメージを把握できます。


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